-大鶴ラーメンを作りたい

 今は新しいことをどんどんやっていこう、という事でテスト的にいろんなラーメンを出しています。もちろんお怒りを頂くこともあるんですよ。笑 だから、もうお金はもちろん貯まらないけど、それはそれで生活できればいいし。

 一生一品を目指してね。今豚骨を十何年とずっとやってきて、豚骨と麺っていうのが、一応ライフワークにはなってるんだけど。もっといろんな形を作っていきたい。ラーメンとかうどんとか、そういうカテゴライズされないようなね。大鶴ラーメンみたいなものを作りたいな。ゴールはまだまだ先だろうな。まずゴールありきじゃないから、うどんやりたくなるかもしれないし、スープまたガッツリ変えるかもしれない。それで“ああこれか・・”っていうのが見つかればいいよね。

-教育はしない

 教育はしないです。もうとにかく、自分が暴君になるという。笑 “このおっさん!”って思ってみんな辞めて行ってると思う。笑 けど、それでいいんです。

 そこからその子の自我が始まるんですよね。下手に、こうじゃないとあかんとか、こうすべきだみたいなことは、言う必要はないですよ。その子が僕と働いて感じたことを、活かせばいいだけで。全く同じことをしてもいいし、全く正反対のことをしてもいいし、一つの教材になればいいなと思うんですよね。いいとこも悪いとこも。

 だからずぅ~っとその子たちがいた間も常にやり方変えていて、そのたびにまずくなったりうまくなったり繰り返して、お客さん増えたり減ったり。それで、いいものが作れない時は、仕事ほったらかして飲みに行ったりとか。

 弟子たちには、そういうことを見てもらって、ただいつもずっとアクセル全開でもダメだし、自分の今まで生きてきたものの一部としてお客さんに見て頂く、食べて頂くっちゅう、そういう考えをね、持ってもらいたいな。それでしっかり感じさせられる一杯だったら、まずくてもいいんです、極端な話。これが精一杯ですってね。笑

 独立していった子も数人いるけど、みんなうちより良いお店になってる。それの味、それぞれの力、人間力っていうのが反映されてる一杯だから、たぶん繁盛していると思うんですよ。

-弟子には成功して欲しい。けど実際腹立つ。笑

 よくその子らにもね、うちを踏み台にして行ったらいいからっていうふうにね、言ってて。でいざうちより繁盛店になると腹立ちますよ(笑)

 けどやっぱり成功してもらうと嬉しい。その子の人生の一部をある程度勝手にやっとけって言いながら、ちゃんと背負ってしまわないとダメだと思うから、大変なこともあるよ。若いころはそうできたけど、やっぱり年取ってくるとね、自分の世界の店でやりたくなる。とにかく、目の前のことを一生懸命やるっちゅうね。そのスタイルだけ。人にあんまり惑わされずに。それで一生一品を目指しながらね、いい車乗って、いい酒飲んで、いい女抱いてというね。

 夢ですね(笑)