-たまたま出来た秘伝のスープ

 味に関しては、豚骨というのは決まっていて、麺は博多から仕入れると決めていて、それでコツコツ味づくりしてたんですよ。修行していた頃の経験を活かして地道に味作りをやっていると“あれ、4日目のスープめっちゃ美味しい”っていうのに気が付いたんです。 1日目に下処理して、煮込んで、で2日目は火入れしない。で3日目はまた何時間か炊いて、4日目に崩す。でその4日目のスープを使う、というのが編み出されました。

 これは本当にたまたまコツコツやっているうちに編み出されたんです。豚骨の難しさというか、同じものはやっぱりすぐ作り続けられないんですけど、やっぱり僕は4日目スープでやりたい!と強く決意して、OPEN4日前から仕込み出したわけです。

-OPEN初日、スープ腐る

 気合い入れて4日前から仕込んで、よっしゃいくぞ!とOPENの日の朝スープを見るとガッツリ腐ってるんですよ。「うわっ!これ無理や」ってなるじゃないですか。それで親父さん来て「すみません。今日無理ですわ。OPEN延期しなきゃ・・」という話やったんですけど、親父さんが「いいからやれ」みたいな。「いや、このスープは無理なんで、明日のスープはあるんですけどまだまだ薄いんですよ・・」っていったら、「それでええやん、出せ」みたいになって、初日のラーメンは考えられないぐらいのマズさでしたよね。笑

 みんな唖然とするぐらいのまずさで、“まずい”って噂が一気に広がりました。笑 

 2000年の事なんで、14年前か。それで、まずい噂が広がったし、立地悪いし、1日4人とかそういうのが平気で続きましたね。笑 あまりに人来ないんで夜中の2時まで開けて、4時に帰って、9時にまた店入って、そんな生活繰り返してました。笑

-人が来なさ過ぎて、スープがどんどん煮詰まって行った

 それで、人が来なさ過ぎてどんどんスープが濃くなっていったんですよ。4日目の薄いスープという考えから、少しずつ濃い豚骨の方にちょっとずつ移行していったんです。

 そうやっているうちに、豚骨炊き出して1時間目から3時間目まではこういう出汁がでる、4時間目から5時間はこんな出汁・・と、だいたい豚骨スープで出てくる成分が徐々に徐々に変わっていくわけなのですが、それを毎日やってるから、嫌でも豚骨の知識というか経験値はどんどん上がっていくんですよね。当時だいたい限界の来店客数が200人ぐらいだったんだけど、寸胴が2つ3つじゃ全然足らなくなってきて、店広くして、厨房をアホほど広くして。寸胴も200人の為に何個あったやろ!?ガス代100万円超えてたし、全く儲かんない。笑 

 けど、OPENしてからどうにか半年くらいでメディアが来て来店客数も安定してきました。当時はメディアの恩恵を受けたお店さんも多かったけど、こうやって今までどうにかやってこられたお店さん達はそれぞれもの凄い努力をしていると思いますよ。 

 けど、まだまだいつ潰れてもおかしくないって危機感を持ってやっています。