-職人技を超越したお客さんを見て瞬時に変える心遣い

 だから、お客さんを見て何番さんの人が結構若い元気の良い人なんか、結構ハードな仕事をされてそうな人なんか、それともホワイトカラーであんまり体の使ってなさそうな人やったらチャーシューの部位を変えろとかは本当にうるさく言ってるよ。

 高齢の人には柔らかめのところで脂身の少ないところがいいんではないかとか、そういうのをお客さんを見て触られへんようじゃ駄目やでってずっと言ってんねん。14席の店でそれができんかったら絶対駄目や。そやからうちはかえしは30㏄やけども、本当に、表面張力いっぱいまでのときもあれば、お客さんの顔を見てちょっとご高齢の人だとひょっとしたら辛いかも知れんなと思うんやったらちょっと1滴だけ落として減らしたりとか気を使ってるよ。今は味の濃いのが好きな女の子も多いけど、女性の人だったらもうちょっと控えめにするとかね。そんなのも『タンポポ』に出てるんやけどな。

 仕事は全部どんな仕事でも一緒やと思う。ただ右から左へ順番に何でもやっとるようじゃどんな仕事でもあかんよね。お客さんが今何を欲しがってるか、つけ麺だったらスープ割りをそろそろ言ってくるんじゃないかなとか、そんなことを頭に置きながら背中に目玉があるぐらいじゃないと飲食は無理やからね。どんくさいやつは絶対だめ。

-基本を大事に

 みんな色々な夢とか憧れとかあると思うんやけども、それは自然とついてくるもんやから、とにかく俺が思うには、基本をしっかり勉強して、まず味に金をかけるっていうのが絶対一番大事だと思う。

 味には金かけて、店は自分らで汗かいてきれいに掃除して、それで店を改造したりとか格好よくしたいんやったらあとでできるから、とにかく味に金かけろっていうのが俺の持論だな。でも、店は汚かったらだめやけどね。店は質素ながらも目一杯きれいにしときゃいい。掃除なんかお金かからんし、汗かけば済むことやから。

 ただ、俺が思うのはお金は頑張ったら知らん間に付いてくるからまっすぐに自分を信じて頑張ったらいいと思うよ。

 だって10年続く店って1割やし、会社やったら6%くらいやもん。20年やったらもっとど~んと落ちるわけやんか。ほんの2、3年続けるわけやなく長い間社会的に信用、ラーメン屋として続けていこうと思うんやったら、利益が出た内の何割かをお客さんに還元せなあかんよね。例えば、素材のランクを上げたりとか、昆布のランク上げたりとか、もうちょっといい鶏使うとかいい豚使うとか、お客さんに還元しながら自分は自分で成功した人は好きなことをやればいいと思う。

 煮干の扱い方とかも勉強しないとあかんと思う。鰹節とか昆布の扱い方とか、笑われない、馬鹿にされないようにちゃんと勉強もしていかんとあかんなとは思う。本当に、割烹じゃなくても「いい出汁きいてんな」とか、そういう風にラーメン屋さんもなっていかなあかんし、焼き鳥屋が経営できるぐらいに鳥のパーツを全部把握してて、もう丸鶏を見ても、これ雄やな、これ雌やなってわかるぐらいの知識も必要やし、ここはどの部分か、これはセセリこれはモモ、胸、ササミって言えて解体できるくらいになっていかんとあかんと思うね。俺も本当に休みの日に、豚の半身や丸鶏を送ってもらって解体したりやって勉強してたからね。

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